犬がてんかんと診断されたら…「食事」について知っておきたいこと|不安な飼い主のための栄養知識

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たくさんの犬たち

はじめまして。花円と申します。

ブログにしてみようと思ったのはこの記事の執筆がきっかけでした。いきなりスタートしますが、よろしくお願いします!

この記事を執筆している私自身、これまでに暮らしてきた犬の中で、てんかんを持つ犬が4匹いました。現在、4匹目のてんかん犬と向き合っています。

愛犬が発作を起こしているとき、飼い主さんは何もできず、ただ見ていることしかできません。その無力感とつらさは、経験した人にしかわからない、大変苦しいものだと痛感しています。

もちろん、獣医師を信頼し、指導のもとで投薬治療を行うことが大前提です。ですが、「それ以外に、家庭でできることはないだろうか?」と考える飼い主さんは、きっと私だけではないはずです。

実際に、我が家の1匹目と2匹目の犬は、投薬なしでは発作のコントロールができませんでした。しかし、3匹目の犬は年に1度程度の発作だったため、生涯を投薬なしで終えることができました。その頃の私は食事療法という考えに思い至らず、「今思えば、もっとできることがあったのではないか」と感じることが多々あります。

現在4匹目の子は投薬治療中です。薬とうまく付き合いながら、「少しでも良い方向に向かうなら」という思いで、私自身も食事について勉強を続けています。

この記事は、かつての私のように、不安の中で「愛犬のために何かしたい」と模索している飼い主の方と、最新の研究に基づいた情報を共有したいという思いで執筆しています。

【はじめに:必ずお読みください】この記事で紹介する食事療法は、獣医師による薬物治療や指導を補完するものであり、決して治療の代わりになるものではありません。愛犬の食事内容の変更やサプリメントの使用は、必ずかかりつけの獣医師に相談し、その指導のもとで行いましょう。自己判断で薬の量を変えたり、中止したりすることは絶対にやめましょう。

なぜ「食事」がてんかんケアに?注目される「腸脳相関」

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「脳の病気であるてんかんに、なぜ食事が関係するの?」と不思議に思われるかもしれませんね。その鍵を握ると言われているのが、近年注目されている「腸脳相関(ちょうのうそうかん)」という考え方です。

腸と脳はつながっている?「腸脳相関」とは

「腸脳相関」とは、その名の通り、腸と脳がお互いに影響を与え合っている、不思議なつながりのことです。

腸は「第2の脳」と呼ばれることもあり、腸内環境の状態が、脳の働きや健康状態に影響を及ぼすことがわかってきました。そしてこの関係は、てんかんを持つ犬においても重要である可能性があると言われています。

てんかんを持つ犬の腸内環境の“特徴”

最新の研究によると、特発性てんかんを持つ犬の腸内環境(腸内フローラ)には、健康な犬とは異なる、次のような特徴があることがわかってきました。

  • いわゆる「善玉菌」(短鎖脂肪酸を作る菌など)が少ない傾向にある
  • いわゆる「悪玉菌」(日和見病原菌など)が多い傾向にある

このような腸内環境の乱れは、腸だけの問題にとどまりません。腸とつながっている脳の健康にも影響してしまうかもしれないのです。このことから、「腸の健康を整えることが、発作のコントロールにつながるかもしれない」という、新しいアプローチが期待されています。

愛犬のてんかん発作と「食事」:2つの主なアプローチ

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では、具体的にどのような食事アプローチが、てんかんの管理に役立つと考えられているのでしょう。

これからご紹介する2つの方法は、やり方は違いますが、どちらも先ほど解説した「腸と脳のつながり(腸脳相関)」に働きかけることを目指すものです。1つは脳の主なエネルギー源を変えることで、もう1つは腸内環境を乱す可能性のある食事の要因を管理することです。

アプローチ①:MCT(中鎖脂肪酸)オイルを活用した食事法

「ケトジェニック(ケトン食)ダイエット」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんね。これは、食事の脂質を増やし、炭水化物を減らす食事法のことです。

この食事法がてんかんケアで注目される理由は、脳が利用する主なエネルギー源を「ブドウ糖」から「ケトン体」に変える点にあります。

通常、脳はブドウ糖をエネルギー源にしています。しかし、ケトン食によって体内で作られる「ケトン体」も、ブドウ糖の代わりに脳のエネルギー源となることができるのです。このケトン体が、てんかん発作を引き起こす脳の過剰な興奮を抑えるのではないか、と考えられています。

特に、英国王立獣医大学(RVC)などの研究では、ココナッツオイルなどに含まれる「MCT(中鎖脂肪酸)」オイルが、このケトン体を効率よく作り出す鍵となる成分として注目を集めています。参考:RVC犬のてんかん研究てんかん犬のための食事研究の画期的進歩

科学的な根拠

ロイヤル・ベテリナリー・カレッジ(RVC)によって主導された食事試験の研究では、てんかんの犬にMCTオイルを含む食事と、含まない食事(プラセボ)を3ヶ月ずつ交互に与えました。その結果、MCTオイルを含む食事の期間中に、発作の頻度が著しく低下したことが科学的に示されました。

認知機能の改善

さらに、発作のコントロールだけでなく、てんかんを持つ犬に見られがちな認知機能(集中力など)の低下を改善する可能性も報告されています。

【事例:Boの場合】

この食事法がいかに劇的な変化をもたらすか、ある犬の事例を紹介しますね。

12歳のミックス犬「Bo」は、抗てんかん薬を服用しているにもかかわらず、数年間にわたり約60回もの発作に苦しんでいました。

しかし、飼い主さんがMCTオイルを含む高脂肪・低炭水化物の手作り食に切り替えたところ、驚くべき変化が訪れます。Boは33週間もの間、1度も発作を起こさなかったのです。

さらに、肝臓への負担を考慮し、獣医師の指導のもとで抗てんかん薬を80%も減量することに成功したそうです。この食事療法は、Boの生活の質を劇的に改善する希望の光となりました。

参考:犬のてんかんに対する食事療法:2つの症例報告‐PMC

アプローチ②:「炭水化物」を管理するホールフード中心の食事

アプローチ①で紹介した厳密なケトジェニックダイエットは、栄養バランスの管理が非常に難しく、続けるのが難しい場合もあります。

そこでもう1つの選択肢になるのが、比較的、実践しやすい「炭水化物の量や種類を管理する」アプローチです。これは、加工度の高いドッグフードやおやつを減らしたり、できるだけ自然な食材(ホールフード)を増やしたりしながら、炭水化物の摂取を見直す方法です。

このアプローチの重要性を示す、ある犬のエピソードを紹介します。

【事例:Danteの場合】

ハスキー犬の「Dante」は、てんかんと診断された後、処方された薬の副作用がひどく、飼い主さんは食事療法に切り替える決断をしました。自然な食材を中心とした手作り食に変えたところ、Danteの発作はほとんどなくなりました。

この食事療法の効果を決定づけたのは、ある発見でした。Danteの発作は、家族が善意であげた「ピザの耳」のような炭水化物の多いおやつを食べた後だけ起きていたのです。

このことから、Danteの発作と炭水化物の摂取には明確な関係があることがわかったのです。飼い主さんが炭水化物を厳しく管理することで、Danteは薬に頼らず、穏やかな日々を取り戻すことができたそうです。

参考:犬のてんかんに対する食事療法:2つの症例報告‐PMC

Danteの事例は、必ずしも厳格なケトン食でなくても、犬によっては「炭水化物を適切に管理する」ことが、発作のコントロールに大きな効果をもたらす可能性を示していますね。

アプローチ②を補強するその他の栄養素

炭水化物の管理と並行して、アプローチ②(ホールフード)で意識的に摂りたい栄養素もあります。これらは脳の健康をいろいろな面からサポートしてくれます。

  • オメガ3脂肪酸(DHA・EPA):青魚の油(フィッシュオイル)や亜麻仁油などに含まれます。脳の神経細胞の構成成分であり、脳の健康維持や抗炎症作用が期待できます。
  • ビタミンB群:特にビタミンB6などは、神経の働きを正常に保つために必要な神経伝達物質の合成をサポートしてくれます。レバーや肉類、魚などに含まれます。
  • 抗酸化物質(ビタミンC・Eなど):発作が起こると、脳は「酸化ストレス」というダメージを受けやすくなります。緑黄色野菜や果物に含まれるこれらのビタミンは、酸化ストレスから脳を守る働きが期待できます。

【比較表】2つのアプローチのまとめ

ここまでの2つの食事アプローチについて、それぞれの特徴をまとめますね。愛犬に合った方法を獣医師と考えるときの参考にしてみてください。

アプローチ①:MCTオイル活用(ケトン食)

  • 食事内容:高脂肪・低炭水化物で、特にMCTオイルがとても大切な役割を担います。
  • 主な根拠:複数の科学研究(英国王立獣医大学など)で、発作頻度の低下が報告されています。(Boの事例)

始めやすさ:栄養バランスの管理が非常に複雑なため、獣医師や専門家の詳しい指導が必ず必要です。

アプローチ②:炭水化物管理(ホールフード)

  • 食事内容:炭水化物の量や種類を管理し、自然な食材(ホールフード)を増やします。
  • 主な根拠:炭水化物の摂取と発作が関連したという、具体的な事例(Danteの事例)があります。
  • 始めやすさ:比較的始めやすいですが、栄養が偏らないよう注意は必要です。

犬のてんかんケアと「サプリ」。安全に使うための知識と注意点

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「犬 てんかん サプリ」と検索し、情報を探している飼い主さんも多いかもしれませんね。食事療法とあわせて、サプリメントの活用も選択肢の1つになります。

サプリメントはあくまで「栄養補助」

まず大切なのは、サプリメントはあくまで「栄養補助」であるという位置づけを理解しておくことです。

てんかん治療の主体は、獣医師が処方する抗てんかん薬です。サプリメントは、その治療や食事管理を「サポートする」目的で使われるものであり、サプリメントだけで発作が治まるわけではありません。

どのような成分が注目されているか?

てんかんケアのサポートとして、以下のような成分が注目を集めています。

  • MCT(中鎖脂肪酸)オイル

アプローチ①で紹介したMCTは、療法食だけでなく、サプリメント(オイル)として普段の食事に少量から加えることもできます。これが最も注目されている成分の1つです。

  • GABA(ギャバ)

脳内の興奮を鎮め、リラックスさせる働きがあることで知られています。

  • テアニン

GABAと同様に、リラックス効果が期待されるお茶由来の成分です。

  • オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)

食事から十分な摂取が難しい場合、サプリメントで補うことも選択肢になります。

サプリメント利用時の注意点

サプリメントを利用する際は、必ず守ってほしい大切な注意点があります。

それは、使用前に必ずかかりつけの獣医師に相談することです。

安全だと思われるサプリメントでも、現在服用中の抗てんかん薬との飲み合わせ(相互作用)によっては、薬の効果に影響を与えてしまう可能性もゼロではないからです。

「このサプリメントを試してみたい」と思ったら、まずはその製品を獣医師に見せ、愛犬の状態に合っているか、薬との併用は問題ないかを必ず確認してくださいね。

食事療法を始める前に:獣医師と実践する3つのステップ

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食事療法は大きな可能性を秘めていますが、安全かつ効果的に進めるためには、正しい知識と準備がとても大切です。実際に獣医師に相談する前に、ぜひ以下のポイントを押さえておくと安心です。

Step1:「発作日記」で愛犬の状態を記録する

食事療法を検討する上で、まず始めてみてほしいのが「発作日記」です。これは、獣医師が最適な治療計画を立てるための、とても大切な情報源になります。

先のDanteの事例で「ピザの耳を食べた後に発作が起きていた」ことがわかったのも、日々の観察(記録)があったからこそでした。

  • いつ発作が起きたか(日付と時間)
  • 発作の前後に何をしていたか(食事、おやつ、運動、ストレスなど)
  • 発作の様子(持続時間、症状の種類、重症度など)
  • 行動の変化(発作前後の不安、興奮、攻撃性など)

これらの情報を詳細に記録することで、特定の食べ物や状況が発作の引き金になっていないか、パターンが見えてくるかもしれません。

最近では、スマートフォンのアプリなどで簡単に記録することもできて便利です。

Step2:獣医師への「賢い」相談の仕方

記録した発作日記を持参し、かかりつけの獣医師に相談しましょう。その際、不安や希望を具体的に伝えることで、より具体的な相談がしやすくなります。

<相談時の質問例>

  • 「発作日記を見て、何か食事面で気になるパターンはありますか?」
  • 「うちの子の場合、食事療法(MCTオイルや炭水化物管理)を試してみる価値はありますか?」
  • 「MCTオイルのようなサプリメントを試す場合、どのような製品を選び、どのくらいの量から始めれば良いですか?」
  • 「もし手作り食を検討する場合、栄養バランスについてアドバイスをいただけますか?あるいは、栄養学に詳しい専門の獣医師を紹介してもらうことは可能ですか?」

Step3:必ず守るべき「3つのルール」

愛犬の安全のために、食事療法を進める上で絶対に守ってほしい大切なルールがあります。これは、てんかんの悪化を予防し、安全に管理するためにとても重要です。

  1. 自己判断で薬を減らさない・止めない

食事療法によって発作が減ったように見えても、自己判断で抗てんかん薬の量を減らしたり、中止したりすることは絶対にやめましょう。投薬量の変更は、必ず獣医師の検査と指示に従う必要があります。

  1. 自己判断で食事を切り替えない

特に手作り食は、栄養バランスが偏ると、てんかん以外の健康問題(例:栄養失調、肝臓や腎臓への負担)を引き起こすかもしれません。必ず獣医師の指導のもとで行いましょう。

  1. 食事の変更は「ゆっくり」行う

急に食事を変えると、下痢や嘔吐など、消化器系に大きな負担をかけてしまうことがあります。新しい食事に変える際は、1〜2週間ほどかけて、ゆっくりと新しい食事の割合を増やしていってください。

まとめ:愛犬のより良い明日のために

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この記事では、てんかんと闘う愛犬のための食事管理について、科学的な背景から具体的なアプローチ、実践の際の注意点までを解説してきました。

食事管理は、てんかんを持つ犬のQOL(生活の質)を向上させるための強力な選択肢の1つです。それは決して「薬の代わり」になるものではなく、標準的な治療を支え、その効果を最大限に引き出すための「心強いパートナー」となります。

私自身、これまでに4匹のてんかんを持つ犬と暮らし、今も投薬と食事管理を続けている飼い主の1人として、発作を目の当たりにするつらさ、そして「何かできることはないか」と模索する気持ちは痛いほどわかります。

ただし、この記事ではあえてMCTオイルの具体的な分量や、厳密なレシピは紹介していません。なぜなら、私自身が獣医師ではないことに加え、てんかんの状態や必要な栄養バランスは、その犬の年齢、体重、そして個体差によって全く異なるからです。

この記事の目的は、飼い主さんが自己判断で試すためのノウハウを提供することではありません。投薬治療を大前提としながら、「食事の面でも、こうした補助的なアプローチが研究されている」という事実を知っていただき、かかりつけの獣医師に相談するための”材料”にしていただくことです。

愛犬のてんかん管理は、簡単な道のりではないかもしれません。しかし、飼い主であるあなたの深い愛情と、日々の観察、そして正しい知識に基づいた努力は、きっと愛犬の力になります。

繰り返しになりますが、食事療法やサプリメントだけに頼らず、必ず獣医師と十分な相談をしてください。

この記事が、あなたと愛犬のより良い明日のために、新たな1歩を踏み出すきっかけとなれば、とても嬉しいです。1人で抱え込まず、ぜひかかりつけの獣医師とチームになって、愛犬に合ったケアを見つけていってくださいね。

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